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2024年1月12日金曜日

エルデンリングを振り返る6 陰謀の夜

主犯

陰謀の夜主犯ラニであるとされている。これはラニ主犯説を指し示す物的証拠や状況証拠、証言、自白証言が揃っているからである


物的証拠として黒き刃の刻印、状況証拠として死の呪痕が挙げられる


黒き刃の刻印

陰謀の夜、何者かが

黒き剣のマリケスから死のルーンの一部を盗み

暗殺者たちの刃に、その力を宿した


これは、その儀式の刻印であり

陰謀の真実が潜んでいるという


死の呪痕

月の王女ラニの、棄てた肉体に刻まれた呪痕

百足傷の欠環とも呼ばれる


呪痕は、デミゴッド最初の死に刻まれ

円環を為すはずである


だが、デミゴッド最初の死者は二人あり

呪痕は2つの欠環となった


ラニは、肉体だけの最初の死者であり

故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ


また黒き刃の刻印を調査したロジェールによりラニ主犯説を裏づける証拠が得られている


…それに儀式の主、つまり陰謀の夜の主犯も、見当がつきましたよ

月の王女ラニ。王配ラダゴンと最初の妻レナラの、子供たちのひとり

将軍ラダーン、法務官ライカードの兄妹たるデミゴッド

刻印には、彼女の名が隠されていたのです


…貴方には、感謝します

そして、不躾なことを願ってもよいでしょうか

月の王女ラニが、陰謀の夜の主犯ならば

彼女の身体には、運命の死の呪痕が刻まれているはずです

それを、手に入れてはもらえないでしょうか?

…それで、すべて分かると思うのです。私がずっと追い求めた答えが


月の王女ラニの遺体から「死の呪痕」を取得することができることからも、ラニ主犯説が裏づけられる


これらに加えて、ラニ本人からも自白が為されている


…なるほど、よく調べたものだ

確かに、私は魔女ラニ

死のルーンの一部を盗み、儀式により、それを神殺しの黒き刃となした

すべて私が、やったことだ

…だが、お望みの呪痕は、ここにはない

私は、生来の身体を殺し、棄てていてな

呪痕もそちらに刻まれていよう(魔女ラニ)


…そして私は、二本指を拒んだ

死のルーンを盗み、神人たる自らの身体を殺し、棄ててでも

私は、あんなものに操られたくはなかったのだ(魔女ラニ)


以上のように陰謀の夜の主犯ラニであることは揺るぎないように思う


たとえラニの自白が虚偽のものだったとしても、ラニが黒き刃の刻印の儀式に関与していたこと、また自分の体を殺したことは数々の証拠から確かだと思われる


※なにもかもを嘘だとすることも不可能ではないが、ラニは本当のことを言っているとしたほうが、より蓋然性が高い



陰謀の夜

では次に陰謀の夜なにが起きたのかを見ていきたい


陰謀の夜は黒き剣のマリケスから死のルーンが盗み出されたことを発端とする


黒き刃の刻印

陰謀の夜、何者かが

黒き剣のマリケスから死のルーンの一部を盗み

暗殺者たちの刃に、その力を宿した


黒き剣の追憶

陰謀の夜に、死の一部が盗まれた後

マリケスはこの剣を、自らの内に封じた

もう二度と、誰にも死を盗ませぬように


このとき盗み出された死のルーンは、ラニの儀式により暗殺者の刃にその力を宿されている


死のルーンを宿した黒き刃が振るわれたのは、ラニの体、ゴッドウィンの魂、そして数多くのデミゴッドたちである


死の呪痕

ラニは、肉体だけの最初の死者であり

故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ


黒き刃の陰謀の夜、黄金のゴッドウィンが最初に死んだ(オープニング)


真冬のある夜、無名の暗殺者たちが狭間の地を横切っていった。

帝国中の神の女王の親族多くの命を奪ったが、その数はあまりにも多く、散らばっていたため、彼女の神の保護では救うことができなかった。

暗殺者の標的は多岐にわたっていたが、永遠の女王にとって黄金のゴッドウィンほど壊滅的な損失はなかった。彼の死後、エルデンリングは何らかの形で砕け散り、世界の秩序は崩壊しました。(海外公式による「神代における狭間の地の歴史」)


最初にラニの肉体ゴッドウィンの魂が死に、その後にデミゴッドたちが暗殺されていった、という時系列のようである



マリカの関与

ここで少し寄り道するが、陰謀の夜マリカが関与していた、とする説もある


これは黒き刃稀人であり、マリカの同族であること、またマリカがマリケスを裏切ったことが言及されていることからである


黒き刃のフード

陰謀の夜の実行犯たる刺客たちは

すべて女性であり、一説には

マリカに近しい稀人であったという


稀人のルーン

稀人は、かつて狭間の外からやってきた

女王マリカの同族であるという


黒き剣の追憶

マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった

マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み

後にそれを裏切ったのだ



ゴッドウィンの死

ただしマリカの反応を見ると、ゴッドウィンの不完全な死は彼女にとって不慮の出来事だったように思える


暗殺者の標的は多岐にわたっていたが、永遠の女王にとって黄金のゴッドウィンほど壊滅的な損失はなかった。彼の死後、エルデンリングは何らかの形で砕け散り、世界の秩序は崩壊しました。(海外公式による「神代における狭間の地の歴史」)


つまりマリカ関与説では、マリカは死のルーンを盗み出すことには協力したものの、ゴッドウィンやデミゴッドたちの望んでいなかったということになる


ゴッドウィンの不完全な死に反応しているのは他に、指読みの老婆ミケラがいる


うう、ううう…

ゴッドウィン様

なんと、醜いことでしょうか

坊ちゃまは、死ぬべきでした

デミゴッド、その最初の死者として

運命の死に殉じるべきでした

それがなぜ、醜態を晒しておられますか

黄金の貴公子が、死に生きるなどと

そんな、醜いことがあるでしょうか

うう、ううう…(深き根の底)


黄金の墓標

デミゴッド最初の死者たる

黄金のゴッドウィンを弔う墓標剣


少年の静かな祈りが込められている

兄様、兄様、正しく死んで下さいな



陰謀の夜

まとめると、陰謀の夜を画策した主犯はラニである。マリカはそれに協力した可能性があるが、ゴッドウィンやデミゴッドたちのまでは望んでいなかった


結果としてラニの肉体は死に、ゴッドウィンの魂は死んだ。また数多くのデミゴッドも殺されている


実際に手を下した黒き刃たちはラニに協力していたと考えられる。ただしラニイベント後イジーやブライヴ襲っていることから、彼女たちはラニに騙されていた可能性もある


陰謀の夜の関係者のなかで自らの望みを叶えたのはラニだけ、ということになる


以上の解釈が提示された情報から導き出される結論として穏当なところだろうと思われる


ここから先は穏当ではない説を述べることにする



だれがゴッドウィンの死を望んだのか

ゴッドウィンの死を望んだ者としては、陰謀の夜の関係者のうち、マリカがまず外れる


暗殺者の標的は多岐にわたっていたが、永遠の女王にとって黄金のゴッドウィンほど壊滅的な損失はなかった。(海外公式による「神代における狭間の地の歴史」)


ではゴッドウィンと共に最初の死者となったラニはどうだろう


死の呪痕

ラニは、肉体だけの最初の死者であり

故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ


しかしながら、ラニの体を殺すためにはゴッドウィンの魂を同時に殺す必要がある、という情報はない


むしろマリカの協力を得たいのであれば、表向きでも計画上はゴッドウィンではなく他の誰かを犠牲にする予定だったのではないだろうか


その計画にマリカが乗った、ということはラニと共に死ぬのはゴッドウィンでなくても良かった、ということになる


またラニがゴッドウィンに対して敵意を持っていたという情報もない


…そして私は、二本指を拒んだ

死のルーンを盗み、神人たる自らの身体を殺し、棄ててでも

私は、あんなものに操られたくはなかったのだ(魔女ラニ)


ラニが自らの身体を殺したのは、二本指に操られたくなかったからである


ただし、ラニにゴッドウィンを殺す動機があったものの、その情報が提示されていないだけ、という可能性も排除できない


しかしながら、愛息を憎んでいる相手マリカが協力するとは思えない


これらの根拠から、ゴッドウィンの死マリカでもラニでもない、別の第三者の望みであったと考えるのが妥当だと思われる



ラダゴン真犯人説

真犯人候補として過去の考察でも取り上げたのがラダゴンである


古竜戦役の英雄であるゴッドウィンは、王都古竜崇拝においても重要なポジションについていたと考えられる


古竜戦役最後の地

黄金のゴッドウィン勇戦し

古竜フォルサクスを友とす(剣の碑)


ランサクスの薙刀

ランサクスはフォルサクスの姉であり

人の姿に化け、古竜信仰の司祭として

騎士たちと交わったという


王都古竜崇拝の根本にあるのは、金色ゆえに黄金樹への裏切りではない、という教義である


さざれ石の聖印

古竜信仰は、黄金樹への裏切りではない

この聖印も雷も、すべて金色なのだから


黄金律原理主義の権化であるラダゴンにとって、この屁理屈はどのように取り繕っても、黄金律への許しがたい反逆であろう


また古竜戦役の発端となった大古竜の王都襲来についても、ラダゴンに対する古竜の攻撃と見ることもできる


ラダゴンと敵対していたからこそ、古竜は王都を襲ったのである


そしてまたマリカと同体の王であるゆえに、マリカの同族たる黒き刃を司る権限を有していたと考えられる


現在においても黒き刃英雄墓を守っている光景が見られるのは、黒き刃が今も現黄金律の支配下にあるからなのであろう


つまりラダゴンにはゴッドウィンを殺す動機も、その手段もあったことになる


マリカの陰謀を知ってさえいれば、陰謀に対して陰謀を持って介入し、マリカに最大の打撃を与えることも不可能ではない


マリカとラダゴンが相争っていることはマリカの言霊にもある。その相克の果てに起きたのが、陰謀の夜とゴッドウィンの死だったのである


そしてまたこの構図から見れば、陰謀の夜にマリカが加担した理由も明らかである


つまり、マリカラニの身体と同時に、自らの身体の内にあるラダゴンの魂のみを殺そうとしたのである


当初はその予定だったのが、ラダゴンの介入により計画は狂いゴッドウィンの魂のみが殺されてしまったのである


この説では、なぜゴッドウィンが殺されなければならなかったのか、という問いに解答が得られる


それはつまり、王都古竜信仰にのめり込む反逆者を粛正するのと同時に、ライバルであるマリカ最大の打撃を与えられるからである


そしてすべてが終わったあと、ラダゴンは暗殺者たる黒き刃を始末しようとする。その結果が黒き刃の長アレクトーティシーそして黒き刃たちの王都からの逃亡だったのである



黒き刃、ティシー

陰謀の夜、黒き刃に死のルーンを宿し

黄金のゴッドウィンを殺した暗殺者の一人

ティシーは、黒き刃の長アレクトーの娘であり

王都からの逃亡時、母を守り命を落としている


彼女たちはラダゴンの支配する王都から逃れ、黄金樹の対抗勢力領地に逃げ込み散り散りになって隠遁する


リエーニエにある黒き刃の地下墓に「黒き刃の刻印」があり、またその最南端の月光の祭壇アレクトーの封じられた封牢があるのは、そのためである(アレクトーは囚われているのではなく、身を守るためにそこにいる)


一方、暗殺に加担しなかった黒き刃たちはなおもラダゴンを主とし、敵対するラニ勢力に対し暗殺の機会をうかがっているのである


また典礼街からミケラの聖樹への転送を妨害しているのも、ラダゴン配下の黒き刃たちである(ミケラ像への点火を妨害している)



ミケラ真犯人説

もう一人、陰謀の夜の真犯人説を挙げるのであればミケラになろうか。こちらはDLCで情報が開示される期待を含めてのものである


ミケラが死王子となったゴッドウィンを利用して何かを画策していることはすでに示唆されている


…おお太陽よ!ソールの冷たい太陽よ!

どうか、蝕まれ給え

魂無き骸再誕をっ…!(幻影)


…申し訳ありませぬ、ミケラ様

まだ、太陽は蝕まれませぬ。我らの祈りが弱いばかりに

貴方の友は、魂無きままなのです…

…もう、見ることは叶わないでしょう

貴方の聖樹を(幻影)


黄金の墓標

デミゴッド最初の死者たる

黄金のゴッドウィンを弔う墓標剣


少年の静かな祈りが込められている

兄様、兄様、正しく死んで下さいな


ゴッドウィン殺しておいて再誕を望むというのは矛盾しているように思えるが、一度殺してから生き返らせることがミケラの目的だったとしたら、あり得なくもない


黄金の墓標に記された、現存する唯一のミケラのセリフがやや不自然なのも気に掛かるところである


兄様、兄様、正しく死んで下さいな


永遠に成長しないミケラのセリフとして、善悪の区別が付く前幼さを表現したセリフとも考えられるが、それにしてはゴッドウィンの死に対する態度が軽い


ゴッドウィンの死と再誕を前提としてみると、「正しく死んでくれたら再誕させられるのに」、という解釈も可能かもしれない


おそらくゴッドウィンの魂だけが死んだことはミケラにとってイレギュラーな出来事だったように思う


つまりミケラはマリカとラニが企てる陰謀の夜に乗じてゴッドウィンを死なせようとしたのだが、ゴッドウィンの魂のみが殺されてしまったため、予定が狂ったのである


これはミケラが陰謀の夜全容を知らなかったためで、マリカとラニが警戒してその時まで秘匿していたからなのだと考えられる


ミケラはゴッドウィンを正しく死なせたかった。だが正しく死なせることができず死王子となってしまった


けれどミケラは計画を諦めきれず、今もなおゴッドウィンを正しく死なせようとし、また再誕させようとしているのである


DLCの舞台ミケラが赴いたのも、その延長線上に目的があるからだと考えられる


ミケラはゴッドウィンの魂を奪い返すべく、死んだ魂が行き着く領域、すなわち「冥界」に赴いたのである


それがどういう結果をもたらすのかは不明である


冥界でゴッドウィンと邂逅するのかもしれないし、その魂を捕らえる何かと戦うことになるかもしれない


また、褪せ人の行動如何によっては、根の底の死王子に魂が再び宿り、完全体ゴッドウィンと戦えるようになるのかもしれない


1 件のコメント:

  1. 今回も面白い考察をありがとうございます。
    ほぼほぼ同意するところです!
    ラダゴンは自分と敵対し排除を目論むマリカ一派、ゴッドウィンを最有力者とする黄金の一族の力を削ぐためにゴッドウィンを殺す必要性があります。
    ミケラもまた、自分の聖樹を第二の黄金樹にするために自身を神として王を迎えなければならず、王の候補としてゴッドウィンに白羽の矢を立てた。そしてゴッドウィンを黄金樹から自身の聖樹に招くために一度死を迎えさせようとした。
    どちらも頷けます。
    しかしマリカはおそらく陰謀の夜時点では死のルーンの解放を願っていなかったと思います。
    根拠として、マリケスはマリカによって死のルーンを盗まれたことに対する罰を与えられています。死のルーンの解放がマリカの思惑にあって、そこから先、ゴッドウィンの暗殺だけがマリカの思惑でないなら罰するべきはラニです。しかしマリカはマリケスに飢え渇き続ける罰を課しています。つまり、死のルーンが盗まれたこと自体がマリカの想定外だった、マリケスの不手際ということです。
    さて、マリカが死のルーンの解放を望んだとする根拠は
    黒き剣の追憶「マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み 後にそれを裏切ったのだ」
    ここであろうと考えますが。
    運命の死の封印を望んだのは間違いなく黄金律の始まりに宵眼の女王を討ち死のルーンを取り除いたタイミングですが、では後にそれを裏切ったのはいつでしょうか。
    これを陰謀の夜時点と考えるとマリカがマリケスに罰を与える動機がぼやけます。
    わたしはこれを本編中であると考えます。
    メリナはマリカの娘であり、マリカから使命を与えられています。明文化されていませんがおそらく「褪せ人を導き、自身を火種として現在のどうしようもなく行き詰った世界を終わらせるために黄金樹を燃やしなさい。そして死のルーンを解き放ち、それをもって元凶となったエルデの獣を殺させ、新しい世界を始めなさい」と、本編中の動きから使命はこうであったと推察できます。
    つまりマリカはメリナを通してマリケスから死のルーンを取り上げなさいと言っています。
    これが後の裏切りではないでしょうか。上記の追憶はマリケス撃破後に得られるアイテムですので、上記の裏切りが達成された後しかプレイヤーは目にすることはありません。
    同様の構文は火の巨人の追憶から得られる火よ、焼き尽くせ!にも見られます。
    火の巨人は、悪神の力を借りてなお敗れた それは、永遠の火守りとして生き続ける 孤独な呪いの終わりでもあった
    この文章は間違いなく本編中の褪せ人が巨人を倒したエピソードであり、神代の時系列の話ではありません。ですが、火の巨人の追憶から作成する都合上、必ずプレイヤーは火の巨人を倒した後ですので、プレイ時点の出来事が既に起こったこととして記載されています。

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