トリニティ・プロセッサ
トリニティ・プロセッサとはもともと扉(ゲート)を制御するために構築された、「ウーシア」「ロゴス」「プネウマ」からなる三対のプロセッサの名称である
扉(ゲート)とは、多元的な世界をつなぐ物「マルチバース・ジョイント」であり、その制御により神の力にも等しい力を行使できるようになるものである
ゼノブレイド2の世界においては、「ウーシア」は時空転移現象により失われている
クラウスは残った「ロゴス」と「プネウマ」に「ブレイド」を管理させることで「ブレイドシステム」を稼働させた
「ブレイド」を管理する機能をもつこの2つのプロセッサは後に地上世界で「天の聖杯」と呼ばれるようになる
しかしながらトリニティ・プロセッサは、歴史を通じて登場し、さらに様々な呼び名や役割があるので一度プレイしただけでは理解しにくい
そこで図にしてみたのが以下の画像である
各欄の一番上がトリニティ・プロセッサとしての呼称、二番目が三位一体論に当てはめたときの名称、三番目が地上世界での呼称、四番目が物質的な形相を示したものである
※アルヴィースに関しては参考程度
ちなみに「ブレイド管理機能をもつ2つのプロセッサ」と、それらの地上世界における呼称である「天の聖杯」とは分けて考えたほうが良い(「天の聖杯」とはおそらくマルベーニが名付けた名であり、2つのプロセッサにブレイド管理機能を付与した際にクラウスがつけた名ではないだろう)
クラウスの計画
初見では何言ってるんだか分からなかったクラウスの計画。再度見直してみると、クラウスは2つの計画を実行していたことがわかった
1つ目は、雲海とコアクリスタルを使用した世界再生計画である(以下がその図である)
この図で重要なのは、アルスは未だコアクリスタル(と雲海)の影響下にあるということだ
アルスとは、コアクリスタル(と雲海)によって構成された疑似生命、ともいえる
コアクリスタルの影響を離れるのは「純粋な生命体」の段階だ
本来ならば、
この段階で自然に委ねてしまえば生命体は勝手に進化していくのだが、クラウスは
「そうして誕生した世界」を
信じていなかった
「
ある疑念」が払しょくできなかったのだ
それは「
このまま進化を自然に委ねてしまったら、また自分のようなものが誕生してしまうのではないか」という
恐怖にも似た疑念である
そこで彼は進化に介入することにしたのである
※クラウスはただ単に「進化を促進しただけ」という意見もあるが、その場合、進化とは何をもって「進化」とするかをまず定義しなければならない。キリンのように首が伸びることか、あるいは鯨のように足がヒレに変化することなのか。体を大型化することが進化の場合もあれば、小型化することが進化の場合もある。進化という言葉は非常に曖昧でその方向性は一定ではない。つまり「進化の促進」という言葉の中には、すでに「進化の方向性の制御」という意味が含まれている。なぜならまず初めに促進させる方向を決めなければ「進化を促進」することができないからである(その時点で進化に介入したことになる)
人類が危険な方向に進まぬよう、その進化を統御し積極的に介入していくという、ある種の優生学にも似た方法を彼は思いついたのだ
(↓は介入の意思をはっきりと明言した場面の画像)
(
もう一つの計画と断言している。
計画は2つあったことになる)
それがブレイドを利用した第二の計画「命の記憶の循環」である
※
進化に適さないとされた個体は
ドライバーになれない(全身から血が噴き出すなど拒絶される)
※
適した個体だけが
ドライバーとなり、次代へ続く情報を繋いで行ける
※トラ一族がドライバーになれないのは、そのオタク志向が
生命進化にって不適切とされたからかもしれない
※少し話はそれるが
マルベーニの洗礼はこの
進化の選択機能を弱らせる作用があったのかもしれない。なぜなら
天然のコアからのブレイド発生率が低いとインヴィディアの関係者が述べているからである
※ちなみに科学の世界には「
観測者効果」というものがあり、観測者の
観測という行為が観測対象に変化をもたらす、と言われている。つまりブレイドシステムにおいては、
情報を得た段階で人の世界に介入しているということになる(科学者であったクラウスが知らないはずがない)
この第二の計画はしかしながら不首尾に終わった
人類は相変わらず互いに相争い、戦争ばかりしている(クラウスの失望も理解できる)
そのうえマルベーニという不届き者がこともあろうに世界樹を昇り、トリニティ・プロセッサを盗んでいってしまった(失望中のクラウスにとってもはやどうでもいいことだが)
トリニティ・プロセッサといえどもコアクリスタルでもあるので、それは人と同調し実体化してしまう。そうして生まれた「天の聖杯」は、人類を滅亡させかねぬほどの大規模な戦争(聖杯大戦)を引き起こすのだった(再度いうが、クラウスの失望も理解できる)
もはやクラウスには世界を再生しようという積極的な意思はなく、新しい人類の行く末にも興味を抱かなくなっていった
そこで初めてクラウスは、人類の行く末を彼ら自身の手(自由意志)に委ねたのである
早い話が、自分の思うとおりに事態が進まなかったので
「放り投げた」のである(なんという幼児性の発露だろうか)
だが、この創造主の卑屈な隠遁が事態を好転させる。なぜだかわからないが、世界にレックスという少年が生まれ、彼は天の聖杯とともに楽園を目指し始めたのだ
その強い意志の輝きに心を動かされたクラウスは、最後に少しだけ人類を助けるのだった
エンディング後の世界
上記の説明の通り、実は2つの計画に
ゲートの力は関与していない(世界の消滅後、ゲートは動いていなかった、とクラウスも言っている)
エンディング後、世界からゲートの力は失われたが
「世界再生計画」および
「命の記憶の循環計画」は
機能を維持したままである
雲海が晴れたのは再生計画が終了した
楽園(最後にたどりついた大地)とその周辺部のみであり、他の地域は
いまだに雲海に覆われているのである(再生計画は続いている)
同様に「命の記憶の循環計画」の基幹である
「ブレイド」もまた存続しているのである
楽園に住む
ブレイドはやがて寿命を迎え、アルス(最後に大地に結合した)へ帰り、やがてアルスとなる
そうやって
大地はその面積を拡げてゆくのだ
そして気の遠くなるほどの時間の後にそれは
大陸となるのだろう
生命の進化は残った最後のトリニティ・プロセッサ「
プネウマ」が担当するだろう。それはクラウスの手を完全に離れ、より
自然な進化システムとして機能してゆく(もともと
クラウスの関与を必要としないシステムなので、彼がいなくなっても問題ない)
後記
トリニティ・プロセッサ、とくに「ロゴスとプネウマ」は時代や状況によって呼称が代わるのでとても混乱する。特にプネウマなどはプロセッサ名であると同時に、実体化した天の聖杯の三人目の人格の名称でもある
なぜプネウマなのかというと、「ゲートを制御する」というトリニティ・プロセッサと同様の役割を担うからであろう
つまり役割によって名前が決まるのだ(ゲートが消えると同時に、彼女もいなくなるのは必然である)
要するにプネウマとは、天の聖杯がゲートの力を行使する時にだけ現れるヒカリとホムラの人格を統合(止揚)した人格である(プロセッサとしての人格ではなく、プロセッサが果たす役割により発生したゲートの力が生んだ人格である)
ヒカリとホムラの肉体を借りているものの、その本質はゲートの力そのものである
ちなみにアデルがゲートの力を受け入れられなかったのは、それが本質的にヒカリに属するものではなく、異質な宇宙の力であることに気付いたからだろう
ただし「トリニティ・プロセッサとしてのプネウマ」の存在理由は、「ゲートを制御する」ことであるから、それを拒絶されたことでヒカリは傷ついたであろう(再び拒絶されるのが怖いのか、レックスにはずっと秘密にしていた)