まとめ

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2018年1月22日月曜日

ゼノブレイド2 考察7 エーテル

考察スレでエーテル議論が盛り上がっていたので刺激を受けて考察してみる。なお考察スレの議論には参加していない。

エーテルに関することならばエーテルの操作が可能なカムイが最適だろうということで、ヨシツネによるカムイの説明からはじめたいと思う



1.エーテルエネルギーは空間に存在する
2.ブレイドはエーテルエネルギーを武器のクリスタルへ送り込んで力を発生させている
さらに以下のドヤ解説によると、ヨシツネとカムイはエーテルエネルギーの流れを操作できるらしい

ただし、操作できるのはエーテルエネルギーの「流れ」のみなので、ヴァンダムさんの捨て身技が有効だった(とはいえ、武器へのエネルギー補充は絶たれているので、効果は限定的といえる)

ではそもそも空間に漂うエーテルの正体は何なのか? どこから来たのか?


ルクスリア王によれば、エーテルはゲンブの体内に流れているという
アルスの活動エネルギーは、アルスが雲海を摂取することで発生するらしい
その活動エネルギーの「流れ」がエーテル流であるという
それを精錬し、結晶化したものがコアチップだという

武器のクリスタル=コアチップだとすると、ブレイドはエーテルエネルギーをエーテル結晶に照射することでエーテル結晶を励起させ力を発生させている、ということになる

一般に励起状態になった結晶は高エネルギー状態となるので、原理としてはありうると思われる。

こうした原理を利用したものとして「レーザー」があり、「光励起」によって発生させた超高出力レーザーによる核融合、プラズマ物理、高エネルギー物理などが応用として挙げられる

エーテルがエネルギーとなる原理がなんとなくわかってきたところで、空間に漂うエーテルの謎も解明される

つまるところ、空間に漂うエーテルとは空気中に溶解(蒸気化した)したエーテル結晶(その元である過飽和の蒸気)である
それは条件が揃えば結晶として成長(アルスの体内のように濃度が濃く、さらに儀式により結晶化させる)し、さらにエーテルそのものによって励起され力を発生させる

エーテルそのものは、アルスが雲海を摂取し活動エネルギーに転換したものである
その活動エネルギーが希薄化し、アルスト全体に薄く漂っていると思われる
(エーテルをアルス起源に限定できるかどうかは断言できない。他に発生の仕方があるのかもしれない)

※なおナノマシン談義には踏み込まない(あくまで雲海を摂取し活動エネルギーを得ているとだけ)

2018年1月13日土曜日

ゼノブレイド2 考察6 聖杯大戦とラウラの身分

前回の考察5で、ファン・レ・ノルンとレックスの類似性を示すだけの予定が、なぜか暴走したあげく資料を検討することもなく完全に間違った考察に至ってしまったのでその訂正もかねて聖杯大戦についてまとめようと思う

聖杯大戦

事の起こりはマルベーニがメツを目覚めさせたことだった

メツは与えられた天の聖杯としての力を使い、世界を消し去ろうとする
それに対抗すべく立ち上がったのが抵抗軍だった

カラムの遺跡で決起した抵抗軍を率いていたのは、イーラの英雄アデルだった
アデルはその時、ヒカリを目覚めさせる

ラウラが合流したのはその後である(抵抗軍決起の場面にラウラの姿は確認できない)

アデルから叙勲され正式なイーラのドライバーになった時点でラウラは抵抗軍に参加したと思われる。↓のラウラの後ろに見えるのがアデル

このことから国家としてのイーラ抵抗軍の主力であったことがうかがえる

その後、抵抗軍はメツとの戦いを続けやがて決戦の時を迎える
(抵抗軍のキャンプにて、メツの狙いが王都であることが判明)


王都とはイーラの王都だと思われる

第四話のオープニングの映像に映るこの特徴的な塔は、後にイーラを語るシンの場面にも登場するからである


イーラはアルスへの信仰を持ち、人間とブレイドとの共存を目指した国だった

だが、イーラはメツとヒカリとの戦いに巻き込まれてしまう(王都を狙ったメツを迎撃しようとして王都は焦土になったと思われる)

ヒカリによれば聖杯大戦によって3つのアルスが沈んだという

そしてヒカリがイーラを去った後、マルベーニによるイーラの残党狩りが始まった

この時、すでにイーラが沈んでいたのかは定かではないが、残党というからにはイーラ軍はすでに故郷を失い各地を放浪していた状況のように思える。

こうしてイーラは滅亡した、というのが聖杯大戦を時系列順にまとめたものである

さてここで問題となるのはイーラの民である
以下は破壊される王都をなすすべなく眺めるイーラの民である

ルクスリアの民に似ているが、ラウラには似ていない(イーラの成人女性に特徴的な顔の入れ墨がラウラにはない。また瞳の色も異なる)。ついでにいうのならアデルにも似ていないのである

そもそも着用している衣服(防具)方向性からして異なっている

では全く別の国からやってきた渡来人なのかというと、そうではないと思われる
というのも、あまりにあからさまであるがゆえに、考察対象にすらならなかったことであるが、この服装、神職や巫女の服装がモデルである

それをそのまま素直に受け取るのならば、ラウラは神官階級のイーラ人である
要するにラウラの出自は神に仕える神官であり、その神とはイーラにおいては「アルス」のことだった(上記で述べたようにイーラはアルスへの信仰を持ち、人間とブレイドとの共存を目指した国だった)

イースにおいては神官はだれにでもなれるものではなかった。ある身体的特徴が必須だったと思われる。その身体的特徴こそ「黄色い瞳」である

この黄色い瞳というのは、ブレイドによく見られる特徴である
人とブレイドとの共存を目指すイーラの民において、それは人とブレイドとの特別な絆を示すであったのだろう(同様に平民に施される入れ墨は神官には許されなかった)

またアルスとのある種の交感を可能にする能力を有している証であったのかもしれない
マルベーニが恐れたのはそうしたイーラの力であり、メツがレックスの瞳の色について触れたのも、その特殊性を知っていたからだろう

話は逸れるがジークがコンタクト(カラコン)をしているのは、もしかすると黄色い瞳を隠すためなのかもしれない。彼の父であるルクスリア王ゼーリッヒの瞳は黄色で、その特徴が代々受け継がれるとしたら、ジークのもとの瞳の色は黄色なのかもしれない。ただこの親子は全然似ていない(人種すら違って見える)ので、あまり参考にならないかもしれない



以下は幼少期のラウラと彼女の母親(たぶん)の画像だが、セピア色に加工してあるために、黄色なのかそうでないのか判別がつかない。色調的に黄色もありえるかもといった程度である

さて、ラウラ=神(アルス)に仕える神職説が正しければ、レックスの出自も判明したことになる

レックスは神職(審神者)としての能力を発現させたイーラ人である(ゲーム中にみせたアルスやブレイドとの親和性を鑑みれば、レックスがそういう存在であっても不思議ではないように思える)

人とブレイド(アルス)との調和を保ち、その共存を実現する存在としてレックスは誕生したのである




2018年1月12日金曜日

ゼノブレイド2 考察5 ファン・レ・ノルンとレックス

1つのコアクリスタルの中に2つの名前(自我)が宿ったのが「ホムラ/ヒカリ」であるとするのならば、ファン・レ・ノルンは「コアクリスタルが2つに分割されることで2つの自我が芽生えた」ブレイドであるといえる

ファン・レ・ノルンは本来カスミという名でありラウラのブレイドであったが、聖杯大戦の後、マルベーニによるブレイドイーター手術によりコアクリスタルを分割されてしまった。その結果、カスミはマルベーニに喰われ、残りがファン・レ・ノルンというブレイドとして存在することとなったと思われる


ファン・レ・ノルンに関してはその外見がラウラと瓜二つとわざわざゲーム中に触れられている

カスミから言わせればそれは同じ姿なのだという

物語におけるこうした瓜二つ設定は必ず何らかのトリックやギミックとして利用されるのが通例である。放置したままというのはありえないレベルの設定なのだ

さて、上記の画像にあるとおりファン・レ・ノルンの瞳の色は黄色である
セピア色で分かりにくいが、ラウラもまた黄色の瞳のように見える

このラウラの顔を見て、誰かに似ていると感じたのは自分だけではないだろう
つんつん気味の髪質、黒い髪色、黄色の瞳、さらにどことなく東洋風の容貌・・・

そう、レックスである

作中レックスがファン・レ・ノルンに向ける眼差しについては、ニアがわざとらしいほどに触れていたが、その心情をレックスは明かすことはなかった

ただ想像でいわせてもらうのであれば、レックスは明らかにファン・レ・ノルンに憧憬を超えたものを感じていたように思えた

レックスの出自は作中では明らかにされていない
ただ、誰に似ているかといえば、アデルではなくラウラであろう

ちなみにアデル瞳の色からして違う(わかりやすいように明度を上げた画像)

髪色はもちろんのこと、輪郭も異なるように見える
これらのことからレックスはアデルの血を引いていないと考えられる

では一体レックスとは何者でどこから来たのか?

この疑問に対する一応の答えは考察6の最後に載せている


2018年1月11日木曜日

ゼノブレイド2 考察4 ネフェルと破壊されたコアクリスタル

ネフェルの自己犠牲

ネフェルの自己犠牲的行為に関しては各所で物議をかもしていたが、根本にあるのは以下の疑問である

ネフェルはなぜわざわざワダツミのバリアから飛び出たのか?

次の画像は事故現場に落ちていたワダツミのコアクリスタルのものである

コアクリスタルが破壊されているのがわかるだろう(破壊されたコアに関する考察は後述する)

つまり、あの爆発はワダツミのコアクリスタルを破壊するほどの威力があったことになる
Gサクラの外見にごまかされているが、実は相当に深刻な事態だったのである

間一髪、他の人間が助かったのはワダツミバリアのおかげである
しかもそれは、ワダツミのコアが破壊されるほどギリギリの状況だった

もしネフェルが爆発とバリアの間に飛び出し、身を挺して爆発の威力を低減していなければ、あの場で全滅していてもおかしくはない、という推察もできる

この爆発、そもそもネフェルの肉体が爆散していてもおかしくはない威力だが、おそらくそれを正確に描写するとCERO:Zとかになってしまうので(子供なのでZでも無理かも)表現上致し方ない部分でもあるのかもしれない

もっともワダツミのバリアがわずかにネフェルに届いていた、とする考え方のほうがより自然だろう(ネフェルの飛び出しにワダツミが驚いていないことからも、その存在がうかがえる
その場合、ブレイドのバリア付きの人間が爆発との間に立ちふさがることになるが、これは爆弾と味方との間に鉄板が立てられたようなもので、爆発力は格段に低くなるはずである

つまりネフェルは爆発の規模が分からないあの状況で瞬時に判断し、二段構えの防護策を講じたことになる(スイッチを押させまいとすることも考えると三段構えか)


まとめると次のようなものになる
爆発の威力はワダツミのコアクリスタルを破壊するほどの規模のものである
皇帝の捨て身により爆発が弱まったと考えるのが自然である
・ネフェルはワダツミにバリアを張らせて味方を守らせると同時に、爆発の威力を弱めるため(かつスイッチを奪うため)に身を投げ出したのである

以上のことからネフェルの自己犠牲的行為には理由が存在し、それは妥当なものであるということがわかる

これに関しては、インヴィディアのラゲルトもこう漏らしている

ラゲルト女王に恩を着せるための計算づくの行為であった、という深読みもできる(それを判断できるほどネフェル皇帝の描写がないので判断は保留する)

補足
メレフがネフェルの亡骸を置いて犯人を追ったことに関しては、彼女はそもそも情よりも職務を優先するということが描かれている。よって彼女の職務として犯人の追跡はネフェルの亡骸を守ることよりも優先されるのは当然である

また二国間の首脳会談という性質上、あの場にスペルビア軍人が入ることは禁じられていたと考えるのがふつうである。そうした様々な状況が重なって、あの場に誰もいなくなるという状況が生まれるのである

破壊されたコアクリスタル

次の画像はネフェルが助かってからのワダツミのコアの画像である

ネフェルの傷は癒えたというのに、ワダツミのコアクリスタルは亀裂が入ったままである。これはあの時点でドライバーとブレイドの絆がいったん断ち切れたことを意味する

が、ここに重要な示唆がある

コアが破壊されたのに、この後ワダツミのコアクリスタルは使用可能な状態となりそれはメレフへと受け継がれる

つまり「コアクリスタルが破壊されたとしても再び同調可能な状態に戻る」ことが示唆されている

なにが重要かというと、これによってストーリー中にコアクリスタルが破壊されたブレイドDLCにおける復活の可能性が出てくるからである

次の画像はヨシツネのブレイド「カムイのコアクリスタル」である

コアに亀裂が入っているが、ワダツミとそう変わらないように思える。この後地面が崩壊し雲海の中に消えるものの、おそらく時間が経てば同調可能な状態に修復されるのではないかと思われる

サタヒコ、ベンケイのブレイドに関してはムービー中に破壊されたコアクリスタルが登場しないので断言はできないが、同じような状態ならばやはり修復されるのではないだろうか

ちなみに次の画像はスザクのものである
光が失われる直前であるが傷は確認できない


2018年1月7日日曜日

ゼノブレイド2 考察3 トリニティ・プロセッサとクラウスの計画

トリニティ・プロセッサ

トリニティ・プロセッサとはもともと扉(ゲート)を制御するために構築された、「ウーシア」「ロゴス」「プネウマ」からなる三対のプロセッサの名称である

扉(ゲート)とは、多元的な世界をつなぐ物「マルチバース・ジョイント」であり、その制御により神の力にも等しい力を行使できるようになるものである

ゼノブレイド2の世界においては、「ウーシア」時空転移現象により失われている

クラウスは残った「ロゴス」と「プネウマ」「ブレイド」を管理させることで「ブレイドシステム」を稼働させた
「ブレイド」を管理する機能をもつこの2つのプロセッサは後に地上世界で「天の聖杯」と呼ばれるようになる

しかしながらトリニティ・プロセッサは、歴史を通じて登場し、さらに様々な呼び名や役割があるので一度プレイしただけでは理解しにくい

そこで図にしてみたのが以下の画像である


各欄の一番上がトリニティ・プロセッサとしての呼称、二番目が三位一体論に当てはめたときの名称、三番目が地上世界での呼称、四番目が物質的な形相を示したものである
※アルヴィースに関しては参考程度

ちなみに「ブレイド管理機能をもつ2つのプロセッサ」と、それらの地上世界における呼称である「天の聖杯」とは分けて考えたほうが良い(「天の聖杯」とはおそらくマルベーニが名付けた名であり、2つのプロセッサにブレイド管理機能を付与した際にクラウスがつけた名ではないだろう)


クラウスの計画

初見では何言ってるんだか分からなかったクラウスの計画。再度見直してみると、クラウスは2つの計画を実行していたことがわかった

1つ目は、雲海とコアクリスタルを使用した世界再生計画である(以下がその図である)


この図で重要なのは、アルスは未だコアクリスタル(と雲海)の影響下にあるということだ
アルスとは、コアクリスタル(と雲海)によって構成された疑似生命、ともいえる

コアクリスタルの影響を離れるのは「純粋な生命体」の段階だ

本来ならば、この段階で自然に委ねてしまえば生命体は勝手に進化していくのだが、クラウスは「そうして誕生した世界」信じていなかった

ある疑念」が払しょくできなかったのだ
それは「このまま進化を自然に委ねてしまったら、また自分のようなものが誕生してしまうのではないか」という恐怖にも似た疑念である

そこで彼は進化に介入することにしたのである
※クラウスはただ単に「進化を促進しただけ」という意見もあるが、その場合、進化とは何をもって「進化」とするかをまず定義しなければならない。キリンのように首が伸びることか、あるいはのように足がヒレに変化することなのか。体を大型化することが進化の場合もあれば、小型化することが進化の場合もある。進化という言葉は非常に曖昧でその方向性は一定ではない。つまり「進化の促進」という言葉の中には、すでに「進化の方向性の制御」という意味が含まれている。なぜならまず初めに促進させる方向を決めなければ「進化を促進」することができないからである(その時点で進化に介入したことになる)

人類が危険な方向に進まぬよう、その進化を統御し積極的に介入していくという、ある種の優生学にも似た方法を彼は思いついたのだ

(↓は介入の意思をはっきりと明言した場面の画像)
もう一つの計画と断言している。計画は2つあったことになる)


それがブレイドを利用した第二の計画「命の記憶の循環」である


進化に適さないとされた個体はドライバーになれない(全身から血が噴き出すなど拒絶される)
適した個体だけがドライバーとなり、次代へ続く情報を繋いで行ける
※トラ一族がドライバーになれないのは、そのオタク志向が生命進化にって不適切とされたからかもしれない

※少し話はそれるがマルベーニの洗礼はこの進化の選択機能を弱らせる作用があったのかもしれない。なぜなら天然のコアからのブレイド発生率が低いとインヴィディアの関係者が述べているからである

※ちなみに科学の世界には「観測者効果」というものがあり、観測者の観測という行為が観測対象に変化をもたらす、と言われている。つまりブレイドシステムにおいては、情報を得た段階で人の世界に介入しているということになる(科学者であったクラウスが知らないはずがない)

この第二の計画はしかしながら不首尾に終わった
人類は相変わらず互いに相争い、戦争ばかりしている(クラウスの失望も理解できる)

そのうえマルベーニという不届き者がこともあろうに世界樹を昇り、トリニティ・プロセッサを盗んでいってしまった(失望中のクラウスにとってもはやどうでもいいことだが)

トリニティ・プロセッサといえどもコアクリスタルでもあるので、それは人と同調し実体化してしまう。そうして生まれた「天の聖杯」は、人類を滅亡させかねぬほどの大規模な戦争(聖杯大戦)を引き起こすのだった(再度いうが、クラウスの失望も理解できる)

もはやクラウスには世界を再生しようという積極的な意思はなく、新しい人類の行く末にも興味を抱かなくなっていった
そこで初めてクラウスは、人類の行く末を彼ら自身の手(自由意志)に委ねたのである

早い話が、自分の思うとおりに事態が進まなかったので「放り投げた」のである(なんという幼児性の発露だろうか)


だが、この創造主の卑屈な隠遁事態を好転させる。なぜだかわからないが、世界にレックスという少年が生まれ、彼は天の聖杯とともに楽園を目指し始めたのだ

その強い意志の輝きに心を動かされたクラウスは、最後に少しだけ人類を助けるのだった

エンディング後の世界

上記の説明の通り、実は2つの計画にゲートの力は関与していない(世界の消滅後、ゲートは動いていなかった、とクラウスも言っている)



エンディング後、世界からゲートの力は失われたが「世界再生計画」および「命の記憶の循環計画」機能を維持したままである

雲海が晴れたのは再生計画が終了した楽園(最後にたどりついた大地)とその周辺部のみであり、他の地域はいまだに雲海に覆われているのである(再生計画は続いている)

同様に「命の記憶の循環計画」の基幹である「ブレイド」もまた存続しているのである
楽園に住むブレイドはやがて寿命を迎え、アルス(最後に大地に結合した)へ帰り、やがてアルスとなる

そうやって大地はその面積を拡げてゆくのだ
そして気の遠くなるほどの時間の後にそれは大陸となるのだろう

生命の進化は残った最後のトリニティ・プロセッサ「プネウマ」が担当するだろう。それはクラウスの手を完全に離れ、より自然な進化システムとして機能してゆく(もともとクラウスの関与を必要としないシステムなので、彼がいなくなっても問題ない)

後記

トリニティ・プロセッサ、とくに「ロゴスとプネウマ」は時代や状況によって呼称が代わるのでとても混乱する。特にプネウマなどはプロセッサ名であると同時に、実体化した天の聖杯の三人目の人格の名称でもある

なぜプネウマなのかというと、「ゲートを制御する」というトリニティ・プロセッサと同様の役割を担うからであろう

つまり役割によって名前が決まるのだ(ゲートが消えると同時に、彼女もいなくなるのは必然である)

要するにプネウマとは、天の聖杯がゲートの力を行使する時にだけ現れるヒカリとホムラの人格を統合(止揚)した人格である(プロセッサとしての人格ではなく、プロセッサが果たす役割により発生したゲートの力が生んだ人格である)

ヒカリとホムラの肉体を借りているものの、その本質はゲートの力そのものである

ちなみにアデルがゲートの力を受け入れられなかったのは、それが本質的にヒカリに属するものではなく、異質な宇宙の力であることに気付いたからだろう

ただし「トリニティ・プロセッサとしてのプネウマ」存在理由は、「ゲートを制御する」ことであるから、それを拒絶されたことでヒカリは傷ついたであろう(再び拒絶されるのが怖いのか、レックスにはずっと秘密にしていた)

2018年1月5日金曜日

ゼノブレイド2 考察2 エンディング

自己同一性の問題

エンディングであの二人が戻ってきてめでたしめでたし、と言いたいところだが何も犠牲がなかったわけではない

犠牲となったのはプネウマである

というのも、あのシーンでとあることを実行するためにプネウマはその場に残り、その結果として彼女は死んでいる(エンディングの最後で復活する二人とは肉体的にも精神的にも別物である)

その後二人が復活したために「ああ生き返ったのだ」とプレーヤーは感じるが、そこにいたプネウマという存在はそこで確かに死んでいるのだ
だからこそ「もう一人で大丈夫だね」というセリフが意味を持つ(実質的に別れの言葉)

話は少し変わるがスタートレックの映画に『ネメシス/S.T.X』というのがある。物語のクライマックスでアンドロイドであるデータ少佐は、エンタープライズを救うために敵艦に乗り込み、そこで自爆的な死を遂げる

この映画のエンディングには「B-4」と呼ばれるデータ少佐の兄弟機が登場するが、彼はデータの記憶を受け継いでいる(観客はデータが復活したように感じる)

しかし、自爆したデータとB-4は本当に同じ存在なのだろうか?

ここに自己同一性(アイデンティティ)の問題が発生する

同一の記憶と自我を持つ二つの存在者は、果たして同一の存在といえるのだろうか?
片方は確かにその記憶を体験しているが、片方は単にその記憶を有しているだけである

ここに差異はあるのかないのか?

複雑になるのでこれ以上は踏み入らないが、プネウマとホムラ/ヒカリの関係もこれとほぼ同一である
筆者的にはオリジナルの記憶を持つプネウマは死に、その記憶を受け継ぐホムラとヒカリが誕生した、と考える

※例えば「あなたはこれから死ぬが、明日からはあなたの記憶と人格を持ったコピー生きてゆくので、死んだことにはならない」と言われたらどうだろう? それは自分ではないと言いたくならないだろうか? プネウマの死はそういう意味でのである

なぜ復活したのが二人だったのか?

この疑問にも自己同一性の問題が絡んでくる
この件の場合、どちらかというとアイデンティティという言葉の方がよりニュアンスが正確であろう(同義反復的であるが)

つまりブレイドのアイデンティティの問題となってくるのである

ブレイドはその誕生時に、名前だけを憶えている(前世の記憶はない)
この名前こそがブレイドのアイデンティティであるといえる

ブレイドにとって自分が自分であることの確固たる証左が「名前」なのである
人格は同調したドライバーによりやや影響を受けるので、確固たるものではない

さて、そう考えるとホムラという名前を持つブレイドの異質性が際立ってくる

なぜなら「一つのコアクリスタルの中に、二つの名前が存在する」ことになるからだ
精神分析的にいうのならば、解離性同一障害の状態である(いわゆる多重人格)

並のブレイドならばアイデンティティが崩壊し存在が消滅してもおかしくない事態である
しかしながら天の聖杯の力ゆえか、二人は同一のコアクリスタルに宿ってしまっている

この異常な事実はヒカリが目覚める場面から「伏線」としてずっと描かれてきた事柄である(その異常性を悟られぬよう、プロットがきわめて巧みに練られている)

ここで重要なのは、二人に分裂したのがアデルと同調した後であるということだ
つまり、ブレイドとして同調を果たしたのはヒカリであり、ゆえにその後に生まれたホムラはヒカリの肉体を借りることでしか存在することができないのである

そしてエンディングである

二つの「名前」が宿った例外的なコアクリスタルが、初めてドライバーと同調を果たすのである(上述したが、アデルの時は正常だった)

どうなるか?

二つのアイデンティティが二つのブレイドとして誕生するのである

これは奇跡でもご都合主義でもない。「一つのコアクリスタルに二つのアイデンティティが宿った」という、物語の序盤から提示されてきた「伏線の回収」である











2018年1月1日月曜日

ゼノブレイド2 考察1 ヒカリ/ホムラ

予定では二週目を終えてからレビューを書こうと思っていたのだけれど、なかなか時間が取れないのでヒロインについてだけ記すことにした

ホムラ

ヒロインというよりも母親っぽいという感想をよく目にするが、その印象は正しい。ただしその「母親」は一般的な「母親」というものではなく、言ってみれば「人類の母」としての「母親像」である

ここまで言えばわかる人にはわかると思うが、ホムラのモデルは「聖母マリア」である

紀元四世紀にはすでに成立していたというマリア崇拝は西洋の歴史のなかで大きな地位を占めてきた信仰で、その影響は神学、美術、音楽、文学その他多岐にわたっている。キリスト教とはマリア教のことだ、と喝破した学者もかつていたほどである

さて、処女のままキリストを懐胎したという聖母マリアは、その伝説の通り「矛盾」した存在である。この矛盾をゲーム上に再現したのがヒカリ/ホムラというキャラクターなのである

つまり聖母マリアにおける「処女性」をヒカリに、「母性」をホムラに分割したのだ(聖母マリアとマグダラのマリアという分割法とも思ったのだが、二者を融合させることに何らかの神学的、学術的な意味を見いだせなかった)

処女のまま妊娠できるわけがないじゃないか、という疑問はもっともで、「処女」という言葉は「乙女」を意味するヘブライ語を「処女」と誤訳したのだ、という説も存在する。ただし、宗教学的にはその説はほとんど無意味である。なぜならば、宗教学では「実際に処女が妊娠できるか」が問題なのではなく「処女が妊娠することがありえると信じた人々がいた」ことを重視するからである

以前なにかの考察で「異常出産」について触れたが、聖母マリアの処女懐胎もこの「異常出産」にカテゴライズされるものであろう(ちなみに「武蔵坊弁慶」は母の胎内に「3年」も宿っていたという伝説がある)

つまり異常な形で誕生した者は「特別な人間になる」のだという信仰が古代の人々には存在したのである

ピエタ

ミケランジェロの彫刻作品に『サン・ピエトロのピエタ』と題されたものがある
処刑されたキリストの亡骸を抱く聖母マリアの像である

古今東西さまざまにオマージュされてきた構図であるが(ゲームでいうと、ブラッドボーンのローレンスなど)、その構図はゼノブレイド2でも利用されている。それが以下の画像である

膝枕=ピエタといっているのではない。プレイした人ならわかるが、レックスはこの場面の少し前に「死んでいる」

つまり、レックスの死のあとにこの構図がプレーヤーに提示されるのである
キリスト教をほんの少しかじったことのある人間ならば、その意図にすぐ気づけるほど、それはあからさまである(西欧圏の人間ならばわざわざ指摘すらしないほど自明の事柄である)

実際にはこの場面の前にレックスは「生き返っている」ので厳密には相違があるものの、「生死の境」における「聖母の行為」としては定番の構図である。ただしそこにオマージュ以上の意味があるかというと、ちょっとわからない

ちなみにミケランジェロのピエタ像のマリアが若いのは、ミケランジェロに言わせると「マリアの若さは彼女の不滅の純潔を象徴しているのだ」かららしい

聖母の被昇天

Wikipediaによると聖母の被昇天とは、
聖母の被昇天(せいぼのひしょうてん)とはカトリック教会の用語で、聖母マリアがその人生の終わりに、肉体と霊魂を伴って天国にあげられたという信仰、あるいはその出来事を記念する祝日(8月15日)のこと。1950年、当時のローマ教皇ピオ12世のエクス・カテドラ宣言によって正式に教義とされた)[1]。
さて、聖母を天国へ連れて行ったのは「神」である。この神とは当然ながら「キリスト」のことでもある。ピエタ像における聖母マリアがホムラであるとすると、レックスはキリストに比定されることとなる

これをゼノブレイド2のストーリーラインに当てはめると、

レックスがホムラを楽園へ連れて行った(キリストがマリアを天国へ連れて行った)

となる

さらに聖母マリアが、眠りについたのちに被昇天したように、ホムラも永い眠りの後でレックスと出会い楽園へと向かうのである

以上の事柄からホムラは聖女マリアの「聖母」としての側面がとても強く出たキャラクターだと思われる。その属性は「母性」ではあるけれども、その「母性」は神的なものである

ヒカリ

一方「処女性」を担うヒカリはホムラよりも幼い人格になっている(とはいえレックスよりも少し年上の人格として描写されている)
おそらくヒカリのモデルがマグダラのマリアであれば、レックスと同年代かやや年下に描写したと思われる(罪深き女といわれることから、ブレイドとして最大の禁忌を犯したニアになるのかもしれない)

ちなみに処女マリアはすでに神的な存在であることが無原罪の御宿りからわかる
つまり、マリアは母の胎内にいるときから、「特別な存在」であったということだ

さてこの処女マリアは旧約聖書外典によると神殿で育てられたという。少女に成長したマリアのもとに大天使ガブリエルが訪ねてくる。有名な受胎告知の場面だ。その後、キリストの養父になるヨセフと結婚し、キリストを出産。やがてキリストの処刑に立ち会い、死後に天国へと昇る


眠り

なぜ聖母マリアの生涯を長々と話してきたかというと、ここにヒカリが眠った理由が隠されているからである

上記の聖母マリアの生涯要約において、ホムラが担当するのは「永き眠り(死)」と「被昇天」の場面である(ホムラとレックスによるピエタ像はおそらくは、オリジナルの出来事の再現である)

では、それ以前を担当したヒカリは500年前、何をしたのか

まず前提としてブレイドは妊娠できない(生殖による進化が出来ない)
よって処女懐胎云々はそもそも不可能である

上記の聖母マリアの生涯において、ヒカリが担当することが出来る役はひとつしかない

大天使ガブリエルである(構造を保ちながら「項」は自由自在に組み替えられる、というのが構造主義の基本的な考えであるが、長くなるのでここでは触れない)

先日のファーストインプレッションでも触れたが、ブレイドはキリスト教における天使と立場が近い。人間よりも霊的に優れた存在である天使は、しかし自分たちよりも劣った存在である人間への奉仕を神に厳命される

その神の決定に反旗を翻したのがルシフェル、のちのサタンである
このサタンの被造物としての悲哀を高々と謳いあげたのが、ミルトンの『失楽園』である

神の愛は人間にだけ注がれ、自分たちがいくら神を崇めようとも帰って来るのは冷たい反応のみ。なぜ神は自分たちを愛さないのか。なぜ人間だけを愛するのか

ここにはアベルとカインの主題も含まれている

さて、天界でのこの戦いにおいて、サタンの軍勢と戦ったのが天使長ガブリエル含む四天使である

ゼノブレイド2における500年前の戦争は、このサタンとガブリエルの戦いであったともいえる。つまり500年前の戦争においてサタンはメツであり、天の軍勢はイーラである(現在においては、イーラは堕天した元天使となっている)

その500年前の戦争において、ガブリエルの役割を担っていたのが


ヒカリである


聖母マリア、養父ヨセフ、神の子キリスト、大天使ガブリエル

このうちガブリエルはヒカリが担っていた。この推察を敷衍するのならば、

聖母マリアはラウラであり、養父ヨセフはアデルである

そして神の子キリストは、レックスとなる

レックスといっても現在のレックスではなく元型としてのレックスである

「悲劇的な結末を遂げるよう宿命づけられた少年と、それに立ち会うように宿命づけられた少女」

この元型的な関係が、ゼノブレイド2の世界で幾度も繰り返されてきたのだ
その最初の例が「クラウス」と「ガラテア」なのかもしれない(あるいはもっと遡れるか)

おそらくヒカリは500年前に「前レックス」が悲劇的な死に見舞われるのに立ち会っている(その瞳の色は「黄色」)

その苦痛に耐えきれなかったヒカリはホムラを作り出し、自分は眠ったのだ

やがてホムラも眠りにつき、その目覚めと共にレックスと出会う
レックスもまた死ぬように宿命づけられた存在であった

そして、それはシンによってレックスが心臓を貫かれることで確かに果たされる

だがここで宿命を打ち破る不測の事態が起きる
ホムラがレックスを生き返らせたのである

この例外的な出来事が後にクラウスを心変わりさせ、長い悲劇の連鎖を終わらせるのである

後記

なにぶん二週目をやってないので、そもそもストーリーをちゃんと理解できてない可能性がある

『失楽園』のサタンと天使の戦争がゼノブレイドにおける500年前の戦争であるという考察も、クリアしてだいぶ経ってから思いついたものである。

ヒカリに関しては処女マリアなのか天使ガブリエルなのか分かりにくくなってしまった
アデルが同調したブレイドであるから、マグダラのマリアでもいいのかなとも思う

DLCはイーラ編らしいので、ヒカリの掘り下げがあったらいいなと思う