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2018年1月5日金曜日

ゼノブレイド2 考察2 エンディング

自己同一性の問題

エンディングであの二人が戻ってきてめでたしめでたし、と言いたいところだが何も犠牲がなかったわけではない

犠牲となったのはプネウマである

というのも、あのシーンでとあることを実行するためにプネウマはその場に残り、その結果として彼女は死んでいる(エンディングの最後で復活する二人とは肉体的にも精神的にも別物である)

その後二人が復活したために「ああ生き返ったのだ」とプレーヤーは感じるが、そこにいたプネウマという存在はそこで確かに死んでいるのだ
だからこそ「もう一人で大丈夫だね」というセリフが意味を持つ(実質的に別れの言葉)

話は少し変わるがスタートレックの映画に『ネメシス/S.T.X』というのがある。物語のクライマックスでアンドロイドであるデータ少佐は、エンタープライズを救うために敵艦に乗り込み、そこで自爆的な死を遂げる

この映画のエンディングには「B-4」と呼ばれるデータ少佐の兄弟機が登場するが、彼はデータの記憶を受け継いでいる(観客はデータが復活したように感じる)

しかし、自爆したデータとB-4は本当に同じ存在なのだろうか?

ここに自己同一性(アイデンティティ)の問題が発生する

同一の記憶と自我を持つ二つの存在者は、果たして同一の存在といえるのだろうか?
片方は確かにその記憶を体験しているが、片方は単にその記憶を有しているだけである

ここに差異はあるのかないのか?

複雑になるのでこれ以上は踏み入らないが、プネウマとホムラ/ヒカリの関係もこれとほぼ同一である
筆者的にはオリジナルの記憶を持つプネウマは死に、その記憶を受け継ぐホムラとヒカリが誕生した、と考える

※例えば「あなたはこれから死ぬが、明日からはあなたの記憶と人格を持ったコピー生きてゆくので、死んだことにはならない」と言われたらどうだろう? それは自分ではないと言いたくならないだろうか? プネウマの死はそういう意味でのである

なぜ復活したのが二人だったのか?

この疑問にも自己同一性の問題が絡んでくる
この件の場合、どちらかというとアイデンティティという言葉の方がよりニュアンスが正確であろう(同義反復的であるが)

つまりブレイドのアイデンティティの問題となってくるのである

ブレイドはその誕生時に、名前だけを憶えている(前世の記憶はない)
この名前こそがブレイドのアイデンティティであるといえる

ブレイドにとって自分が自分であることの確固たる証左が「名前」なのである
人格は同調したドライバーによりやや影響を受けるので、確固たるものではない

さて、そう考えるとホムラという名前を持つブレイドの異質性が際立ってくる

なぜなら「一つのコアクリスタルの中に、二つの名前が存在する」ことになるからだ
精神分析的にいうのならば、解離性同一障害の状態である(いわゆる多重人格)

並のブレイドならばアイデンティティが崩壊し存在が消滅してもおかしくない事態である
しかしながら天の聖杯の力ゆえか、二人は同一のコアクリスタルに宿ってしまっている

この異常な事実はヒカリが目覚める場面から「伏線」としてずっと描かれてきた事柄である(その異常性を悟られぬよう、プロットがきわめて巧みに練られている)

ここで重要なのは、二人に分裂したのがアデルと同調した後であるということだ
つまり、ブレイドとして同調を果たしたのはヒカリであり、ゆえにその後に生まれたホムラはヒカリの肉体を借りることでしか存在することができないのである

そしてエンディングである

二つの「名前」が宿った例外的なコアクリスタルが、初めてドライバーと同調を果たすのである(上述したが、アデルの時は正常だった)

どうなるか?

二つのアイデンティティが二つのブレイドとして誕生するのである

これは奇跡でもご都合主義でもない。「一つのコアクリスタルに二つのアイデンティティが宿った」という、物語の序盤から提示されてきた「伏線の回収」である











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